10月22日のプレゼント

ある男にとって、
10月22日は大切な日だった。

毎年、
その日になると、
男は、
取引している会社へ植物を贈る。

社員の休憩室へ供える、
癒しの植物として贈るのだ。

去年は白いバラを贈った。
それは、
10月22日の誕生花だった。

そして、
今年はガジュマルという植物を贈った。
多幸の木と呼ばれる植物だ。
花言葉は「健康」。

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しかし、
どういう訳か、
贈られたガジュマルは、
社員の休憩室には置かれなかったようだ。

会社の、
誰の目にも触れられない場所に置かれた。

そして、
今年のガジュマルは、
人目に触れずに枯れてゆく。


ある時、
ガジュマルを、
目立たぬ場所に置くように指示した役員が、
男に話しかけてきた。

「毎年毎年、
素敵な植物をありがとう。」

「せっかく頂いた植物だが、
置く場所がなかったので、
会社の隅っこに置かせてもらった。」

男は黙ってうなずいた。

男の悲しそうな顔を見て、
役員は微笑んだ。


男は、
取引先の、
薫という女性を愛していた。

10月22日は、
その女性の誕生日だった。



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