ボタンホール穿刺(注射)

僕は慢性腎不全で人工透析を受けています。

人工透析というのは、
1本の注射針を刺して、
チューブをつないで体内の血液を抜き、
機械で血液を綺麗にします。

綺麗になった血液を、
機械からチューブを通して体内へ戻します。
これが人工透析の仕組みです。

人工透析を受ける時、
必ず2回の注射が必要になります。

人工透析を受ける時の注射を、
「穿刺:せんし」と呼びます。

僕は便宜上、
読者の方々が理解しやすいように、
注射という表現を使います。

人工透析をする時の注射方法にも、
色いろと方法があります。

僕の場合は、
1本の注射は通常の注射針を使います。
もう1本の注射は、
「ペインレスニードル」
という注射針を使います。
この注射針は、
先端が「とがっていない」注射針です。

どういうことかというと、
例えで説明すると、

耳にピアスを差し込むような、
そんな感じの注射になります。

ピアスを差し込むときは、
ピアスの穴に、
ゆっくりとピアスを押し込んでいきます。

グサっと、
ピアスを差し込んだりはしませんよね?

ゆっくり、
指先の感触を確かめながら、
ピアスの穴に押し込んで行きますよね。

ピアスの穴は、
1本のトンネルになっています。
ゆっくりピアスを差し込めば、
簡単にピアスは差し込めます。

ボタンホール穿刺というのも、
それと同じような原理なのです。


腕の皮膚から血管までに、
注射針の通り道を作ります。
何度も同じ場所に注射することで、
1本の通り道が出来上がります。

ピアスの穴のようなものです。

注射針を抜くと、
注射の穴が血で固まって、
かさぶた出来て、
血が流出することがないのです。

次に注射する時に、
かさぶたを剥がして、
同じ穴に注射針を刺し込むだけなのです。

血管までの通り道が、
1本ですから、
刺し間違える事はあり得ないのです。

指先で、
注射針の感触を確かめながら、
ゆっくり差し込んで行けば、
簡単に差し込める注射方法なのです。

それに、
痛みが軽減されるのです。


僕はボタンホール穿刺をして頂いていますが、
どうもね、
ボタンホール穿刺に失敗するスタッフもいます。

僕は不思議でならないのです。
だって、
1本の通り道しかないのに、
何故?
注射針が差し込めないのだろうか?と。

ボタンホール穿刺に失敗するスタッフは、
何度も何度も、
通り道ではない皮膚に、
ブスブスと注射針を刺し込みます。

痛いのなんので、
腹が立ちます。

通り道ではない皮膚に、
無数の穴を空けてしまうのです。

そうすると、
本来の、
注射針が通る、
1本の通り道が解らなくなるのです。

無数の通り道が出来てしまったのですから。

注射が下手なスタッフが、
10個の通り道を作ってしまうと、
本当の通り道を入れると、
11本の通り道が出来ることになる。

11分の1の確率で、
注射針を通り道に突き刺さないといけません。

1回で、
注射が刺せた場合、
僕としてはラッキーなのです。
運が良かったのです。

運が悪いと、
11回目で注射針が入るのです。

注射が下手なスタッフですと、
それが20回にも30回にもなるのです。
下手だから。

そうやって、
20回も30回も刺したり抜いたりされると、
益々、通り道が増える訳です。

そうなると、
もうギャンブルですね。
おみくじ感覚ですね。

1発で注射が成功したなら、
「願い事が叶う!」みたいな。

笑い話にしましたが、
僕としては、
笑いごとではありません。

痛いですからね。

ある時から、
注射が下手なスタッフの、
注射の刺し方を見ていました。

注射が上手なスタッフと、
注射が下手なスタッフの、

「どこが違うか?」

比べてみると、
1番に感じたことが、
「仕事に対する責任感」でした。

注射を刺しに来て、
めんどくさそうに仕事をしているスタッフは、
やはり注射を失敗します。

やる気のなさそうなスタッフも、
やはり注射を失敗します。

仕事に対する、
集中力が欠けているのでしょうね。

集中力が欠けているのですから、
指先の感触なんて、
解るはずがないでしょうね。


また、
注射が下手なスタッフの、
注射の刺し方が下手でした。

上手なスタッフは、
ボタンホール穿刺をする時は、
・駆血帯を上手に巻きます。
 血管をよじれさせないためです。
・指先の感触を確かめながら、
 通り道にゆっくり押し込むように刺すのです。

注射が下手なスタッフは、
ボタンホール穿刺にも関わらず、
通常針で刺す感覚で突き刺すのです。

まるで、
ビリヤードの玉を突くかのような?
フェンシングで、
相手を突っつくような感じで、
注射針を突き刺して来る。

勢いよく突き刺してくるから、
通り道ではない皮膚に、
穴を開けてしまうのです。

物凄く痛いのです。
下手くそなスタッフを、
「殺してやろうか!」と思うほど、
痛いのです。

あんな刺し方をしていては、
到底無理です。

注射が下手なスタッフは、
注射の上手な人の刺し方を見学するけれど、
そんな物見ても無駄なんです。

注射が下手なスタッフが言います。

「注射針を刺す角度が45度か!」
「あの角度なら入るんだな!」

と講釈を垂れるのですが、
いえいえ、
角度とかだけはないんですよ。

あなたの指先の感触を確かめながら、
ゆっくり、
1本の通り道にそって、
注射針を押し込むのですよ。

あなたのように、
ビリヤードの玉を突くような、
そんな刺し方ではダメなんですよと。

僕が通院し、
3年以上も、
同じような刺し方をしては、
ボタンホール穿刺に失敗し、
無数の偽腔をつくっては、
僕のボタンホールを壊すのです。

そして、
次回の人工透析の時に、
別のスタッフが言うのです。

「前回、
誰が注射に来ましたか?」と。

ボタンホールが、
「グチャグチャになっている」と、
スタッフが迷惑がっているのです。

注射が下手なスタッフが、
注射に来ると、
ボタンホールが潰れる。
無数の偽腔が作られる。

その度に、
他のスタッフが注射がしずらくなる。

当然、
何度も刺されて痛い思いをするのは僕です。

そんな事が、
3年以上も続いている。

よくもまあ、
僕も我慢してきたものです。
感心します。

それよりも、
何度も何度も、
ボタンホールが潰れる原因を、
スタッフ達は知っているはずです。

それを何故?
改善しようとしないのか?

それが不思議でならない。

ボタンホールが潰れると、
スタッフの仕事がはかどらないでしょ?

何故?
ボタンホールが潰されるのを、
野放しにしてきたのでしょうか?

患者が、
「あの下手なスタッフに、
注射を刺せないでくれ!」
と病院に訴えないといけなかったのでしょうか?

もしそれで、
下手くそなスタッフを何とかしろ!と、
患者が言ってしまうと、
その患者は、
医療従事者からは、
「文句を言う患者」という、
レッテルを貼られるのですよ。

患者は、
文句を言いたくても、
文句を言えないで我慢するのですよ。

理不尽に、
文句ばかり言う頭のおかしい患者がいるのも、
事実ですが。

何故?
注射が下手なスタッフに、
注射のやり方を教えないのでしょうか?

新入社員にですと、
教えやすいでしょうね。

しかし、
そこそこの年齢に達した人間は、
プライドもあるでしょう。

素直に、
人の話を聞けない人もいるでしょう。
頑固で、
理屈や講釈ばかり垂れて。

下手な人間ほど、
理屈や講釈が付き物ですから。

僕の血管には、
無数の偽腔があります。

ボタンホールをする時は、
「運」です。

しかし、
ベテランのスタッフは、
無数の偽腔がある中でも、
しっかりと、
1本のボタンホールを通して注射に成功します。

それは、
紛れもない技術です。

技術は、
見て覚えるものですが、
指先の感触を確かめながら、
注射針をゆっくり押し込んでいく。
それは、
見ても解りません。

指の感覚などは、
それは目に見えないものです。

何度も練習して、
会得するのが技術です。

また、
センスです。

持って生まれたセンス。

見ただけをコピーして、
実践しても、
同じように行かないのは、
そこなんです。

理屈じゃないんです。

指先の技術なんです。

それと、
自分の腕に、
何度も何度も注射針を刺してごらんなさい。

自分の腕で練習してみなさい。

そうすれば、
患者がどれだけ?

あなたに痛い思いをさせられているのかが?
理解出来るはずです。

指先の技術を会得する前に、

人として、

患者の痛みを知ることも大切だと思うよ。

患者が注射を刺されて痛いというのを、
理解していないから、
無神経にブスブスと刺せるのでしょう。

患者に痛い思いを刺せないようにという、
思いやりも大切にして欲しい。

注射が下手くそなスタッフは、
「注射は痛いものだろ!」
って気持ちで刺しているから、
患者の痛みが解らないのでしょう。

自分の腕に、
200回ほど注射を刺しまくってみなさい。

そして、
注射の痛みを知りなさい。

そうすれば、
あなたの注射の技術が向上するでしょう。

きっと。

注射が下手くそなスタッフへの、
僕からのエールです。

注射が上手になるように、
応援していますよ。

努力は裏切らないはずですよ。

指先の感触を大切にね。




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