苦手な人


IMG_9169.JPG





~小説家になろう~という、無料小説投稿サイトに投稿したエッセイです。

~小説家になろう~

苦手な人



苦手な人

作者:高瀬浩司


持病で、週に3回の通院をしています。
通院先のクリニックに、たった1人、「苦手な人」が居ます。
医療従事者の男性です。

普段の生活というと、
身体的な理由で、自宅でベッドの上で寝たっきり生活です。
車イスに乗って出かけることも控えています。
「床ずれ」という病気の予防のためです。

外出するというと、病院へ通うときくらいです。
そういう生活をしていますので、
僕が他人と接触し、会話したりするのも、
限られたエリアの人間になります。

訪問してくる友人もいませんし、ほとんど、他人とは会話することがない。
病院へ行っても、数人の患者さんと話をするくらいです。
医療従事者の方々と会話しますが、
治療に関しての事、少しの世間話といった具合です。

少ない他人との交流の中で、苦手な人がいるのです。
もっと社会に参加して行くことが恐ろしく感じてしまいます。

まして、僕の病気は治らない病気です。
週に3回の通院をします。
苦手な人に、週に3回、死ぬまで会うのです。
それを思うと、吐き気がします。

生活をしていて、僕と関わる人というのは、
1日に少なくて1人。
通院日は15人ほどでしょうか。

その15人の中に、苦手な人が居たならば、
その日は苦痛です。
2日に1度、嫌な思いをするわけです。
それも、死ぬまでずっとです。

そもそも、
なぜ?あの人が苦手なのだろうか?

最初から苦手だった訳ではないのです。

思い返しました。
「いつ?あの人が苦手に思えてきたかを。」


確信を突いたのが「あの日だ」と言うのが解った。
その日を境に、相手からの「敵意」をあからさまに感じるようになりました。
というか、本性を見せ始めたのでした。

最初は優しい顔をして近づいてきて、
僕がどんな人間かを分析し、
僕という人間を値踏みしていたようです。

今思うと、僕の身体的な障害に興味もあったようです。
「戦争映画を観て、体が真っ二つになったのが印象的だった。」
と、苦手な医療従事者が僕に、そう言っていたのを思い出すとね。
僕は床ずれという病気で、股関節から下の両足を切断してありません。

両足がない僕に、体が真っ二つになった人を見て、
物凄く興奮したと言うのですから。
今思うと、気持ち悪いです。
そんな目で見られていたのでしょうかね。

ある時、苦手な人と、
「朝ご飯を食べる、食べない」の話になりました。
その時が、苦手な人が本性を見せ始めた瞬間だったと思う。

「僕は、健康のために朝ご飯を食べません。」
そういうと、苦手な人が間髪入れずに、
「朝ご飯は食べないとダメでしょ!」
と、呆れた口調で?人をコケにしたような言い方をしました。

僕としては、
朝ご飯を食べて体の調子を見ました。
朝ご飯を食べないで体の調子を見ました。
朝ご飯についての健康法も調べました。

調べて、実践して、データを出した結果、
「朝ご飯を食べない方が、僕にとっては生活がしやすい」
という結果が出ました。

それを、頭ごなしに、
「朝ご飯は食べないとダメでしょ!」ですから。

それに対して、
僕が朝ご飯を食べない理由を説明しました。
理論的に。

僕が理論的に、朝ご飯を食べない理由を述べて、
「反論」できなかったのです。
それが、「悔しかった」ようです。

医療従事者とあろうものが、患者に論破されたのですから。
患者の屁理屈を、知識がなくて言い返せなかったという、
「プライド」が傷ついたのでしょう。
その日以来、僕に敵対心を向けてきているようです。

僕としては、論破したつもりはない。
ただ、自分の私生活を伝えただけだ。

それに、
「朝ご飯を食べないとダメでしょ!」というなら、
食べないとダメな根拠を言い返すはずだろう。
言い返せないのは何故?
自分が勝手に、「朝ご飯を食べるのが当たり前だろ!」
と思い込んでいるだけだったからでしょ?
しっかりした根拠があったなら、
朝ご飯を食べないといけない根拠を話せたのではないでしょうか?

言い返せなかった自分を責めれば良いものを、
僕に八つ当たりするのは筋違い。

苦手な人から、いつも敵意を感じますから、
目を閉じていても空気で解ります。
よどんだ、重たい空気を感じて目を開けると、
苦手な人が血圧を測りに来ている。

相手が、敵意を向けてくるから苦手という訳でもないんです。
僕に敵意を向けてきていた医療従事者は、
1人や2人ではない。
何人かいます。
でも、その人達には苦手意識はありません。
敵意をむき出されても。

それなのに、あの苦手な人に、何故?こうも苦手を感じるのだろうか?
不思議でした。
不思議でしたが、原因を探ると見えてきました。

僕が、人生で最も苦手としてきた「父親」の影が見えるのです。
その苦手な医療従事者に。

父親は、頭ごなしに「決めつける人」でした。
自分がこう思ったら、相手の言い分も聞かずに決めつける。
家の物が壊れたら、犯人は僕だと決めつけるような親でした。

決めつける根拠もない。
ただ、自分がそう思ったから決めつける。
証拠もないのに。

「人に迷惑をかけるな!」
というのが口癖の父親でしたが、
さんざん家族を振り回して、
家族に迷惑を掛けて離婚して出て行った。
自分の事は棚に上げて、
人の欠点を突きまくって痛めつける。
自分の利益の為なら、子供であろうと出汁にする。
僕を競輪選手にさせようとしてた父です。
ギャンブルで借金を作っては夜逃げをして。

そんな父とそっくりなのです。
苦手な医療従事者が。

僕自身が、そういった事もあって、
苦手意識を持っている。

相手も相手で、
僕に論破されて敵意をむき出しにしている。

だから、
苦手な医療従事者が近くに居ると、
その空間は「よどんで」いるでしょうね。

こういった生活が苦痛になってきて、
色んな本を読んで解決策を探しています。

相手の性格を変えるのは無理だから、
自分を変えるしかないという解決策を唱えている本もあった。
それが1番、有効的だと思いました。

僕のやり方としては、
苦手な人と「ケンカ」するのが1番だと思うのですがね。
若い頃のように、ケンカして、殴り合って、
分かち合うこともあるのですが、
相手によって違いもあります。
殴っても解らない人間も居ますからね。

今回の相手は、そんなタイプ。
殴っても解らないだろう。
そういう時代に生まれた人ではないから。
理屈っぽい時代に生まれて、
理屈っぽい生き方をしてきたのだろう。
だから、理屈しか言えないのだろう。
その理屈の前には、いつも「へ」がついているが。

でもね、
苦手な医療従事者が、何んでそんな人間になったのだろうか?
その原因をイメージしてみた。
これまで会話してきた内容を加味しながらイメージしたら、
いろいろ見えてきた。

こういう時代に生まれて、
こういう家庭で育って、
こういう性格だから、こんな容姿だからこうなって、
その結果、こんな事しかできなくて、

いろいろ勝手にイメージしていたら、
何となく、「同情」してしまう。

大嫌いな父親の事も、
同じようにイメージすると、同情しちゃう。

同情しちゃうと、苦手意識が薄れてきます。
可哀想に思う。

僕自身が、
その人と同じ目に合ったら?どうだったのかな?
同じ思いを味わうイメージをしました。
悲しい想いになりました。

人から、つねられたことがない人は、
つねられた人の気持ちなんて分からない。

でも、イメージは出来るでしょ?
出来ないなら、
自分で自分の手をつねるといい。
痛いのが解るはず。

僕は、特殊なことになるみたいなのですが、
共感能力が、他の人より少し強いみたいです。
なもので、イメージすると、人の痛みが自分の事のように解るんです。
たくさんのケガや痛み、悲しみ辛さも味わってきましたし。

僕が苦手だとする医療従事者は、
生まれた時から、嫌な性格だったわけではない。
世間のみんな同じだと思う。
僕だってそうだと思うし。
僕が、こんなひねくれた性格になったのにも理由がある。

自分も、同じような環境に置かれたら、
同じような人間になっていたんだと思うと、
何だか、その人の悪行を許せるような気がします。

これからも通院生活は続きます。
僕は、これから苦手な医療従事者をどうしたらいいのだろうか?

今の時代が、江戸時代だったならば、
僕はその医療従事者の首を叩き切ったでしょう。

今の時代が、昭和45年だったならば、
グーで顔面を殴ったでしょう。

今の時代は、
どんな方法がいいのだろうか。

考えないといけないなんて、
何だか寂しい時代だね。

でも、
僕は感じた事、思った事、
そのまま、ありのままを表現して行こうと思う。
これからも自分を出して行こうと思う。



<スポンサーリンク>



スポンサーリンク


スローライフランキング

にほんブログ村